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慶應義塾大学信濃町リサーチ&インキュベーションセンター(CRIK信濃町)を開設

 5月29日(水)、信濃町キャンパス(医学部・大学病院)2号館9階で、慶應義塾大学信濃町リサーチ&インキュベーションセンター(CRIK信濃町)開所式が開催されました。
CRIKとはCenter for Research and Incubation, Keio Universityの略。

 この施設は、2023年度に慶應義塾大学が採択された「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」および「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」を契機に、創立者 福澤諭吉の掲げた「実学」を重視する慶應義塾の総合力を高め、さらなるイノベーションを育て社会的価値を創造する「場」として、整備されました。2021年度にイノベーション推進本部内にスタートアップ部門を創設するなど、近年スタートアップの創出・育成に大学全体で注力していますが、インキュベーション施設を単独で運営するのは慶應義塾大学で初めての試みです。

 2号館9階のワンフロアを占めるCRIK信濃町は、医療・ヘルスケア分野を中心とした幅広い領域の共同研究開発拠点であり、慶應義塾大学医学部・病院の各分野の専門家とスタートアップや企業の方々が自由闊達にディスカッションし、コラボレーションできるこれまでにないユニークなコミュニティを兼ね備えていることが大きな特徴です。医学部およびイノベーション推進本部スタートアップ部門が中心となって施設を運営し、 起業を目指す幅広い世代が、先輩起業家、ベンチャーキャピタル、士業の方々と出会う機会を創出していきます。

慶應義塾のスタートアップ支援とCRIK信濃町の役割

 開所式の会場はCRIK信濃町の会員が自由に交流できる場である「コミュニティスペース」で、当日は慶應義塾関係者のほか、さまざまな業種の企業、文部科学省など省庁や自治体、さらに報道機関などから多くの方々が来場されました。

 開式と共に3名の慶應義塾関係者が来場者への挨拶に立ちました。まず登壇したのは伊藤公平塾長です。「慶應義塾は未来のコモンセンスを創る研究大学を標榜している。20年後に振り返ってCRIK信濃町がこの分野でのコモンセンスを創ったと言えるよう、社会実装に注力した研究開発を進めていきたい」と呼びかけました。

伊藤公平 慶應義塾長

 続いてスタートアップ事業を担当する山岸広太郎常任理事が登壇しました。文部科学省や学内外の関係者への感謝を述べると共に「今後、CRIK信濃町から生まれる成果が皆さまの期待に応えるものになると確信している」と抱負を述べました。

山岸広太郎 常任理事(起業家教育・支援担当)

 最後に挨拶に立った金井隆典医学部長は「医学部を卒業後、私はこの場所(2号館9階)で医師としてのキャリアを始めました」と感慨深く振り返ります。そしてCRIK信濃町や先行する世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)「ヒト生物学-微生物叢-量子計算研究センター(Bio2Q)」などによって、「私学としてわが国のヘルスコモンズ共生社会を先導する存在をめざしていく」と力強く宣言しました。

金井隆典 医学部長

 続いて、慶應義塾におけるスタートアップ育成支援の取り組みとCRIK信濃町のコンセプトについて、イノベーション推進本部スタートアップ部門長である新堂信昭特任教授からの説明がありました。福澤諭吉による慶應義塾の目的=「社会の先導者」が、現在の「社会実装を想定したスタートアップ支援」につながっていることを示唆し、CRIK信濃町はその支援を具現化するために、重要なインキュベーション施設であることを説明しました。

新堂信昭 イノベーション推進本部スタートアップ部門長 

 CRIK信濃町の具体的な活動内容とその意義については、中村雅也副医学部長(イノベーション担当)が、医療・介護・ヘルスケアの現状と課題、慶應義塾が目指す「ヘルスコモンズ共生社会(COI-NEXT)」との関連の中で解説しました。中村副医学部長は、CRIK信濃町が大企業、起業を考える学生、ベンチャーキャピタルなど、さまざまな立場の人々が集い、オープンにディスカッションしながら、イノベーションを生み出す未来志向の施設環境であることを強くアピールしました。

中村雅也 副医学部長(イノベーション)

 なお、慶應義塾大学のスタートアップ支援の取り組みについては『三田評論(2024年5月号)』に詳細な特集記事が掲載されています。ぜひご一読ください。


CRIK信濃町への期待

 開所式には古川俊治参議院議員、今枝宗一郎文部科学副大臣もご出席いただき、祝辞をいただきました。
医学部OBで、元教授でもある古川議員は「福澤スピリットを受け継ぐ慶應義塾が産学連携による社会実装を目指す研究開発をリードしてくれることを大いに期待しています」、今枝副大臣は「日本経済のドライバーとしてCRIK信濃町の活動に大いに注目しています。私も政策面でバックアップしていきますので、お互い頑張りましょう!」と述べ、慶應義塾のスタートアップ支援への共感と応援の気持ちを示していただきました。 

古川俊治 参議院議員

今枝宗一郎 文部科学副大臣

 今枝副大臣には前掲『三田評論(2024年5月号)』特集記事の座談会にもご参加いただいています。

 

各施設内覧会の実施

 開所式後、参加者はグループに分かれて、イノベーション推進本部のスタッフによる案内でCRIK信濃町の各施設を巡る内覧会が行われました。

コミュニティスペース

専用デスクルーム


オープンスペース

会議室

 参加者は窓の外に広がる神宮外苑や新宿御苑の緑、晴れた日には富士山まで望める眺望を楽しみました。また、賃貸オフィス(29室)、広々としたラウンジ、デスクルーム(26席)、参加人数に応じた3タイプの会議室、CRIK信濃町の特徴の一つであるデータアクセスルームなどを見学しました。これらの施設は、ラウンジを除き24時間利用可能です(フロント対応は平日9:00~17:00、ラウンジは平日・土日祝日9:00〜21:00)。
CRIK信濃町には、「賃貸オフィス会員」「専用デスク会員」「ラウンジ会員」の大きく3種の会員プランが用意されています。「ラウンジ会員」なら月額3万円台から利用可能となっており、これから起業を目指す方を想定した料金設定となっています。

 「賃貸オフィス会員」「専用デスク会員」は、会社登記(有料オプション)も可能です。すでに医療・ヘルスケア分野だけでなく、幅広い業態の企業やスタートアップから会員プランへの申し込みをいただいています。
「CRIK信濃町」発の革新的な研究開発とスタートアップ創出には、多くの企業や起業家の方々の情熱が必要不可欠です。新事業創出を目指す皆さまのチャレンジをお待ちしております。

詳細についてはCRIK信濃町Webサイトをご覧ください。

入居に関しては、こちらのフォームよりお問い合わせください。

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